ひよっこ 8/23(水) 仕事を休みどこかへ出かけるヒデ

ダイジェスト

人と比べないヒデ

すずふり亭裏庭。
「すずふり亭、辞めるな」ヒデが言った。

「みね子の仕事ぶり好きだけど。一緒に働いていて楽しいし。今、自分でも楽しくない?」
「楽しいです」
「自信持てよ、自分のやってることに。誰かに何か言われたのか知らないけど、人と比べるのは止めようよ」

ヒデのお父さんは早く亡くなり、お母さんが保険の仕事をしていたのだ。
子供だったヒデは、友達が持ってるモノを自分も欲しくて、何で自分だけ持ってないんだよ、と言ってすねたことがあった。

そのとき、お姉さんはすごく怒り『人と比べるな、そんな男はかっこわるい。大嫌い』と泣き、ヒデも妹も一緒に三人で泣いた。それ以来ヒデは、『人と比べるな』と肝に銘じているという。

「俺は、みね子が自信もって楽しそうに働いているの、かっこいいと思うけどな」
ヒデはみね子にほほえんだ。

(お父さん、玉ねぎのせいじゃありません。私うれしくて涙がでました)

あくまで俺は俺。の元治

元治が遅れてやってきて、玉ねぎの処理が随分進んでいるのをみたとたん、
「あっ何だ~。2人で済むなら俺がやらなくてもいいな」とさぼりたがり、みね子を笑わせてふざけ、なかなか仕事に参加しない。

「先輩は、もっと人と比べて、自分はどうなんだろうとかもっと頑張ったほうがいいなとか、思ったほうがいいと思います」と、マジメなヒデが言う。
「俺は人と比べるのきらーい。俺は俺だからさー。あくまでも。ハハハ」と元治はあくまでも明るい。

笑いながら玉ねぎを剥くみね子の横顔を、ヒデが見つめていた。

二日間の休みに出かけるヒデ

すずふり亭の休憩時間。
従業員一同は一休みし、お茶を飲んでいる。

「鈴子さん、シェフ。先輩。みね子」ヒデが起立したまま言った。
「みんなにお願いがあります。一日だけ休みを下さい」

ヒデは改まった様子で頭を下げた。

「かまわないけど…どうした?何?」鈴子さんが聞いたが、
「すみません、言えません。でもお願いします」と、ヒデは真剣な目をしている。

「…そんな真っ直ぐな目で言われちゃね。いいよ、理由は聞かない」
「ありがとうございます!」と、ヒデは立ち去る。

ヒデは、一日だけ休みをもらい、定休日と会わせて二日間で出かけて行ったが、行き先は誰にも話さなかった。

ミニスカート大流行

1967年の夏。
日本中で大流行した新しいファッションといえば、ミニスカートだ。
きっかけとなったのは、イギリス人モデルのツイッギー。
スレンダーで活動的という、新しい女性像を打ち出し、世界中の女の子の憧れとなった。

奥茨城 谷田部家。
美代子がミシン仕事をしている。
東京のデパートで売る洋服を作っているのだ。

「本当にこれでいいのかねぇ」図面を見直す美代子。
ワンピースのスカート丈があまりにも短いのだ。

ワンピースを自分の体に当てて、鏡を見る美代子だが、誰もいないのを幸いと、障子を閉めてワンピースに着替えた。

「わーこれは。すごい短いなあ」
「どうやって歩くんだろう。うわ!こんなに」

鏡をみて独り言を言っていると、実と宗男夫妻、茂が畑から帰ってきた。
「きゃー。恥ずかしいから見ないでー」と美代子は奥に逃げ込んだ。

男も変わらないといけない

谷田部家の居間。
実、美代子、宗男、滋子がスイカを食べている。

「さっきは驚いたね、お姉さんのミニスカート」宗男が言った。
「あーもう言わないで、恥ずかしい。どんなもんだろうと思って着てみただけなんだから」

宗男は、ミニスカートは素晴らしいと思う、という。
あれは、女性の解放の象徴。ビートルズと同じで、これまで古い考えに縛られていた女性が、自由になるということ。はしたない、とか女のくせに、とか言われて縛られていたのが、開放されるということだ。

「私も作ってみっかなー」と滋子が言う。

「問題はね、男。女が変わるには、男も変わらなきゃいけないんだ。女のひとだけじゃ無理なんだ。男性も、女はこうあるべきだってことに縛られてるからね」
「よし滋子、はけミニスカート」

滋子はその気になり、美代子の作ったワンピースを身にあててみる。
「これ着て畑仕事はできないねえ」みんなが笑った。

時子、ツイッギーそっくりコンテストに出るの?

東京でもミニスカートの話題だった。

すずふり亭のお昼休み。

「人気なんだろ?あのツイッギーとか言うの」と省吾が聞く。
「そう、とってもかわいいんですよー」とみね子。
「私も一着だけ。一着だけ、買ってみたんですよ。そうすると、恥ずかしいのもあるけど、体が軽くなった感じがするんです」
「へえー」

あかね荘、
時子が外から帰ってきて、部屋の中に転がり込んだ。
買ってきた雑誌を開くと「ツイッギーそっくりコンテスト」(日本のツイッギーを探せ)の文字がある。

じーっと雑誌をみてから、自分の姿を鏡に映してスカートを短く揚げてみる時子。
真剣な表情だ。

一方、奥茨城の谷田部家では、実が何かを言いたげな様子だった。

「兄貴、なんか話あんだっぺ?」
「うん。みね子のことなんだ」

スポンサーリンク

感想

ヒデ君、何を言うのかなとワクワクしていましたが。
同僚としてみね子の働きぶりを褒めて、他人と比べないでもっと自信持てよ、と励ますのみに留まりました。まぁ、安易な恋愛話に流れていくより、ヒデ君らしくて良かったんじゃないかな。

高度成長期の価値観

ヒデ君は、他人と比べないぞ!と決めて黙々と努力しているのに対し、元治さんは最初から人と比べるつもりが全然なく、俺は俺だ~♪と明るく開き直りお気楽に生きているんですね。楽しくて良いコンビだなと思います。

しかし、昭和40年の日本は高度成長期です。俺も私もいい暮らしがしたい、人より出世したい、活躍したいという気持ちが言動力で、庶民はそのために頑張ったのだと思います。また、頑張ればそれだけ結果が出る時代だったと思います。向島電気でも『アイルランドに負けるな』と工場フル稼働してましたよね(倒産したけど)。

ヒデ君のいう「他人とは比べない。オンリーワンの自分に自信を持とう」という考えは、昭和のこの時代ではなくて、平成の発想じゃないかな。

多分、ヒデ君のお姉さんが言った「他人と比べるな」は、必要以上に辛い思いをしないための知恵だったんでしょうね。

みね子はみね子で、これまで誰かと自分を比べて落ち込んでいた様子は全然なかったわけだし、『恋のひよっこ』漫画が盛り上がりに欠けて地味だと言われたことを自分の身に置き換えて、ちょっと悩んでみただけじゃないの?
深く考えた訳ではなさそう。

なのに、ヒデ君に『自信もって働いてるみね子はかっこいい』といわれて(うれしくて涙が出た)というのは、ちょっと大げさだなぁと思いました。
…まぁ些末なことは良しとしましょう。

女性の解放

ミニスカートの流行は、古い価値観からの女性(男性も)の開放だ、と宗男さんはいいました。

それまでの理想の女性とは、男尊女卑の思想をベースにした『良妻賢母』ですね。
女性に参政権が与えられたのは昭和21年です。それまでは、女性は選挙で一票を投じることさえ、できなかったんですから。

昔の日本映画で良く見る女性の姿は、男性の3歩後ろをうつむいて歩き、私どうしましょう、とメソメソと泣き、バカだなあお前は。と言われ男性に庇護されるという、まぁ情けない姿です。

戦後になってアメリカ文化がドッと入ってきて、女性は強くなったと言ってても、実際のところ価値観はあまり変わらなかったと思う。

1960年ころのファッションは、マリリンモンローみたいなグラマーや、エレガントなモード系を良しとしていて、フェミニンな感じ・女性らしさが強調されていたようです。

なので、ツイッギーのような、グラマーでもエレガントでもない、小枝のようにガリガリに痩せた中性的な女の子が、一人でドンドン街を歩くというのは、すごく新しいこと、自由で明るくて、驚きだったんじゃないかな。

時子は、江戸ばかりか昭和にもいなかったような長身足長さんだから、ツイッギーそっくりコンテスト、いい線いくと思うわ。そっくりさんでなくて、時子オリジナルのほうがいいけどね。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
error: Content is protected !!