カーネーション(73,74) 日常的な恐怖と空腹と疲労で心身の限界。思考停止

※ネタバレ含んでいます。ご注意ください。

 ダイジェスト

昭和20年正月。糸子(尾野真千子)は娘たちを連れて清三郎(宝田明)と貞子(十朱幸代)を訪ねる。清三郎が口にした「亡くなった善作に冷たく当たってすまない」という言葉に、糸子は驚く。貞子は、生き延びるようにと糸子を励ます。バケツリレーなど消火訓練をして空襲に備える毎日だったが、3月14日の夜、ついに大阪への空襲が始まる。警戒警報のサイレンに、糸子は家族や縫い子らをしったし、懸命に防空ごうを目指す。

大阪の空襲は岸和田までは来なかった。糸子(尾野真千子)は、近所の女性たちと消火訓練をする日々に戻る。ハル(正司照枝)や子どもたちのことを考え、糸子は郊外の空き家への疎開を思いつく。嫌がるハルや千代(麻生祐未)、子どもたちを移し、糸子は仕事の傍ら自転車で食料を運ぶ。疲れきっている糸子だが、朗らかな千代に一瞬気持ちをほぐされる。一方、奈津(栗山千明)は、無一文となり日々の食料にも困る暮らしをしていた。

引用:Yahoo!Japan テレビ

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日常的な恐怖と空腹と疲労で心身の限界。思考停止

※ここから先は個人的な感想です。

怖いなぁ。リアルやなぁ。

戦時中ドラマのお決まりともいえる、空襲の実録映像や派手な被災シーンはありません。炎の中、泣きわめき逃げ惑うようなシーンもありません。なのに(それゆえ?)、ジリジリとゆっくり炙り死にさせられるような恐怖が伝わってきました。

思い出します。わたしは2011年の震災のとき東日本にいたのですが、一日中繰り返す余震と緊急地震速報、原発事故のニュースにまいってしまい、眠れない食べれない日が続いて息苦しく辛かった。

まぁ震災の場合は、怖いものはゆっくり遠ざかっていったから耐えられたけど、糸子たちの場合は怖いもんがゆっくり近づいてくるんやからね…。

いかついもんが、えげつないことしよる

糸子はこれまで、遠い国でドンパチやってるのが戦争やと思っていた。
それが自分の身の回りにやってくるなんて、想像もしてなかったんやないかな。

「いかつい(※1)もんが、空を飛び始めました」

油紙をはった窓から、空を見上げる糸子たち。
青空は昨日と何にも変わってないのに、急にいかついもんがブンブン飛び始めるなんて…新聞ラジオで報道されてるから、こいつの正体は知ってる。けど、ほんまにおったんやなぁ。なんか信じられん。そんな感じなんでしょう。

B29は、えげつない(※2)こと、しよりました。
3月10日に東京の下町ぜんぶベロっと焼き払い、12日には名古屋を襲撃。
13日の朝に新聞でこのことを知った糸子たち。東のほうから順番に来てるから、今日は大阪やなと。頭では理解してるけど、心はついていってないだろうね。

(※1)『いかつい』とは、いかめしくゴツゴツした無骨な様子を表します。
(※2)『えげつない』とは、情け容赦もない度を越した無作法なふるまい。

B29がブンブン来て街を焼いていくようすを『いかついもんが、えげつないことしよる」と表現した脚本、素晴らしいです。関西人のわたしには、ものすごく実感が伝わるのですが…他の地方の皆さんにも伝わればいいなぁ。

空襲警報来た

それでも、夜になったら電灯を消して眠りにつくみんな。
突然サイレンが鳴り出しました。

「警報や!」と叫ぶ糸子。暗い中みんな防空頭巾を被って荷物持って、防空壕へ逃げる準備をします。並の朝ドラマだったら「空襲警報や!」でしょうけど、そこはカーネーション。並の朝ドラとは違います。

はよ逃げなあかんのに、とめちゃん!もう!なにやってるねん!と、気が気でないわ(笑)「ウチが一緒に居ちゃる!泣きな泣きな」…って、お祖母ちゃんの肝の座りかた、おかしいやら悲しいやら。

絶対に布団から離れない、とめちゃん。あきらめた糸子が一緒に家に留まりました。
もう、とめちゃんは放っておいても良かったんやないかとわたしは思うけど、糸子は一家の長やから、そんなことはでけへんのやな…。

結局、岸和田に焼夷弾は落ちませんでした。
お父ちゃんの位牌と写真を忘れてたけど、ちゃんと荷物の中に入れたし。今度からは大丈夫。
ああ…リアルです。

防火訓練に必死、みんな頭おかしくなってるかも

空襲警報も朝昼晩になってくると、もう日常なんでしょうね。
こんな非常事態にも、人間って慣れてくるもんなんよね。

糸子たちは毎日、防火訓練をしています。
バケツに水を組んで列に並び、順番にターゲットに向かってバシャッとかける。その繰り返しです。暑い日も、梅雨になって雨が降っても同じことをやってる。

大日本婦人会のおばはん、次男さんを亡くしてどうしていたのか気になってましたが、激を飛ばして指揮してます。疲れ果てて倒れてしまった人を「甘ったれるな!」と叱り、木岡のおばちゃんが「怒鳴ったらええっちゅうもん、ちゃうやろ」と言っても、「B29が150機も来るんですよ!そんなことでどうする!」って…もう必死。

冷静に考えたら、B29が150機も来て焼夷弾を落とすちゅうのに、こんな風にバケツで水掛けしてなんとかなる訳がない。ロクに食べてなくてお腹へってるのに、暑い中こんなことして何になる?

…そのことは、糸子も木岡のおばちゃんも、たぶん婦人会のおばはんも、みんな薄々分かっているんだと思う。それでも、何かしないではいられないんだろう。何かしら行動してないと耐えられないんだと思う。

日常的な恐怖と空腹と疲労で、みんな精神的におかしくなってる。

疎開先のホタルを夢に見る…虚無感

疎開先の山中町の場面になると、ほんとうにほっとするわぁ。

緊迫した岸和田市内とは別世界。雨に濡れた緑が美しいです。静かです。「衣料品、助かるでえ。こんなん今どこにも売ってへんわ、おおきに」という大家のおじさんのようすも、物資がなくて困ってはいるけど命に別状はなし、という余裕が感じられます。

ムカデが出てもハチが飛んでても、焼夷弾が降ってくるよりはどれだけいいか知れません。
川沿いにいけば、ホタルだって飛んでるのです。

衣料品と食料を物々交換して食べていくため、糸子たちは店に留まり働いているんでしょうけど、もう止めて神戸のお祖母ちゃんを頼って姫路の山荘にいったほうがいいと思うのですが。住み込みの昌ちゃんや縫い子さんたち、もし実家が田舎であればそっちへ避難できないんでしょうか。

たぶんもう、そんなことを考える余裕はない。
衣料品と物々交換で食料を手にいれて、それを疎開先と店とあっち来たりこっち行ったり、自転車で運ぶ糸子。梅雨の雨の中も、暑い暑い夏の日差しの中でも。もうヘトヘト、食べてへんし寝れてへん状態が続いて、よう考えられんようになってる。

誰もいないオハラ洋装店、立派なミシンが黒々と光ってます。
ひとり畳に寝転んで休む糸子。

山中町の川沿いを飛ぶホタルの光が、涼やかに糸子の脳裏に浮かびます。
なんという虚無感。

あとがき

一家13人の長として、糸子はみんなを叱咤激励し、指揮して奮闘。
いつも糸子ひとりが、しんどい役目を引き受けてます。

お母ちゃんが、もうちょっとしっかりした人なら良かったのですけど、いまさら仕方ないしねぇ。妹たちもみんな20歳は過ぎてるんやったら、いつまでも糸子姉ちゃんを頼ってないで、もっと自発的に行動してくれへんもんかと。こんなとき勝さんがいてくれたら、ぜんぜん違っただろう。お父ちゃんがいてくれたら心強かっただろう。あぁ言っても仕方ないわ。

安岡家も気になります。
勘助も亡くなったいま、おばちゃんを抱えて八重子さんはどうしているでしょうか。

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