ひよっこ 7/31(月) お父さんが行方不明になったいきさつ

ダイジェスト

世津子のマンションの外、雨がざあざあと降っている。

みね子に傘を差し掛けたのはお父さんだった。
みね子と実は、それぞれ傘をさして向かい合い、お互いを見つめる。

「本当に?わたしのことわかんないの?」
「はい。」
「本当なんだ….」

みね子は少し落ち着きを取り戻していた。

実はなぜここにいるのか

実は、静かに話しだした。
「そこのベンチに私は座ってました。何でここに来たのかはわからない。自分が誰かも分からない。あちこち怪我をして血だらけでした。そしたら彼女が来て…」

二年半前の、やはり雨の日のこと。
実が雨に打たれてベンチに座っていると、通りかかった世津子が傘を渡してくれた。
昨日も実がそこに座っていたので、勇気を出して「大丈夫ですか?」と、声をかけてくれたのだ。

夜になっても同じ場所に座っている実が気になり、世津子が再びやってきた。
有名な女優である世津子の顔も知らず、異常におびえてしまう実。

実の手が血だらけなのに気がつき、驚いて世津子は実を自分の家に連れて行った。実の怪我を手当しながら、実の緊張をほぐすように気さくに雑談をしていると、やっと実が口を開いた。

「あの….私は…」

雨の中、実はみね子に話し続ける。
「私は自分が誰だかわからないと言ったら、彼女は驚いて、病院と警察へ行こうと言いました。でも、私は、嫌だ絶対に行きたくないと言ったのです。自分が、人を傷つけたり殺してしまったんじゃないかと思って、怖かった」

私には家族がいたのか?

みね子が叫ぶように言う。
「違うよ。お父ちゃんは誰かを傷つけたりしたんじゃない、ひどいことされたんだよ」
「『家族のために働いた大切な金なんです。家族が待っているのです。返してください』って、ひったくりを追いかけて、めちゃくちゃに殴られて、それで怪我したんだよ」

「殴られた…家族?私の家族?」
涙ぐむ実に、みね子が賢明に語りかける。
「そうだよ!お父ちゃんは奥茨城村ってとこで育って、農家で、お母ちゃんと私と…」

まだ雨が降り続いている。
二人の姿を、世津子が部屋の中から見つめていた。実と過ごした日々を思い出しながら。

みね子は、「かわもとせつこ」と書かれた手書きの連絡先を実から手渡されて、雨の中を帰って行った。

感想

なぜ世津子は実を保護したのか

なぜ世津子は、警察へ届けないでお父さんを自分の部屋に隠していたのか。ひどいじゃないの。と私は思っていたのです。

しかし、お父さん本人が、絶対嫌だと言ったのですね。

記憶が何もなくて、自分が誰かもわからないのは相当なショックだと思います。何日間もどう過ごしたのかわからず、考える力もないという状態でしょう。

終戦直後には、戦地から帰ってきても家族の生死すらわからず、途方にくれて座り込む人たちが街には沢山いたのではないかな。戦災孤児もたくさんいたのでしょうし。

世津子が実を放置しておけなかったのは、彼女自身も、途方にくれて道に座り込んでいた日々があったのかもしれません。

もしかしたら彼女も戦災孤児で、靴磨きや使い走りをしながら必死に生きてきて、美貌と才能が目にとまり女優への道が開けたとか、そういう想像もできます。

きれいなものだけ見て育ってきた人ではないと思いますね。みじめな汚いことも経験したんじゃないかな。

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誰にも知られず隠せるものだろうか

それにしても、おかしいです。

昔の大女優さんが、一人で行動することはあまりないと思います。付き人やマネージャが何時も一緒につきまとっていそうですし、家の中まで入ってこないにしても、いままで雨男さんに気づかなかったのか?

また、世津子さんは周囲の人に相談したのでしょうか?

雨男さんが警察に行きたくないといっても、記憶喪失の失踪者をひとりで黙ってかくまっているというのは…一人で手に負えないなら、常識的に考えたら、誰かに相談したり助けてもらったりするのが普通です。それもしないというのはやはり隠しておきたい意思が世津子さんにもあった訳です。

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